「盆に先祖の霊は、灯りを頼りに帰ってくると考え十三日の夕刻に火を焚く風習がある。それが「迎え火」である。まず仏壇や「精霊棚」の前に盆提灯、盆灯籠をともし庭先で迎え火として「おがら」(麻殻)を焚く。墓に参って、盆灯籠に火をつけそこから家迄、提灯を持って案内して来るところもある。これを「迎え盆」ともいう。京都の「大文字焼き」は京都五山に八月十六日の夜「大文字」「妙法」「舟形」「左大文字」「鳥居形」と続いて火がつけられ、とりわけ壮観なのは東山如意ヶ嶽の大文字で井桁に組んだ松の割り木六百本に、松葉麦わら各百束が使われる。先祖の戒名や願い主の名を記した護摩木を火床に積み、弘法大師堂の灯明を親火に移し、合図でいっせいに点火される。「大」の字は仏教では人体を表す。その人体に巣食う七十五の煩悩を焼き尽くすという意味が込められているという。京の人にとって盆の終わりを告げる「送り盆」は厳粛な行事であるのです。